こんにちは、医者投資マン(doctorinvest753)です!
今回は現役放射線科医の筆者が学生や初期研修医向けに放射線科を回る前、研修中に読んでおくおすすめ教科書をセレクトします!
放射線科の研修について
私は放射線科での読影、画像診断研修は、放射線科を専攻する医師はもちろんのこと、放射線科を専攻しない医師にこそ重要だと考えています。
なぜなら、放射線科を専攻しない医師が画像診断について体系だって学べる機会は、放射線科研修の数ヶ月間しかないからです。
おすすめ教科書
初級編
ここでは学生さんや研修医の方にまず手に取っていただきたい基本的な教科書を提示します。
どれもわかりやすく書かれており、文量も多すぎず一読しやすい内容になっています。
CT読影レポート、この画像どう書く?
まず、研修医の方に読んでいただきたいのが羊土社の「CT読影レポート、この画像どう書く?」です。
頭部から骨盤腔までの基本的な疾患と、そのレポートの記載例が載っており、初めて読影レポートを作成する研修医におすすめの1冊です。
「初心者のニーズに合うような必要最低限の知識を網羅的に解説」と謳うように、研修医の方が最初に抱くであろう基本的な疑問に答えつつ、細かくなりすぎないような配慮がなされています。
画像診断の楽しさを知る入門にもってこいの1冊だと思います。
画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン
次におすすめなのがこちらも羊土社の「画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン」です。
研修医の必読書「レジデントノート」に「画像診断ワンポイントレッスン」として連載されていた原稿をベースに、新たに画像解剖アトラス的な内容を追加して一冊の書籍としてまとめられています。
頭部、胸部、腹部の基礎的な内容から重要な病態、サイン、解剖や画像診断のポイントが随所に散りばめらています。
研修医、若手放射線科医、指導医の3者のカンファレンス形式の会話を楽しみながら読んでいくうちに、自然と画像診断の重要ポイントが身に付きます。
画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン2
こちらは上述の画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスンの2です。
胸部、腹部・骨盤部・脊椎、全身・その他に項目が分かれており、外ヘルニアの見分け方や乳腺の画像診断、FDG-PET/CTの基本などは必見です!
癌の画像診断、重要所見を見逃さない 全身まるごと!
何科に進もうとも重要なのが、癌の画像診断です。
羊土社から出版されている「癌の画像診断、重要所見を見逃さない 全身まるごと!」は、頻度の高い悪性腫瘍に絞って、頭頸部、肺、消化管、肝・胆道、膵、泌尿器、婦人科系、血液系の8章で構成されています。
若手専攻医と各科の専門医、放射線科の会話形式で読み進めるうちに、「早期発見のコツ」、「腫瘤発見時のマネジメント」、「正確なステージング」、「良性・悪性の鑑別ポイント」の4点の重要ポイントがしっかりと身に付きます!
肺GGNのマネジメント、代表的な肝腫瘍の造影・信号パターン、卵巣腫瘤のマネジメントなどは一読の価値があります。
巻末に付属するリンパ節アトラスは、癌のステージングや術後経過観察などで注目すべきリンパ節がわかりかなり重宝します。
レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室
胸部単純X線の読影を始めるにあたって読んでいただきたいのが、日本医事新報社の「レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室」です。
呼吸器内科医でいらっしゃる島根大学の長尾大志先生の本で、X線やCT画像の成り立ちから分かりやすく解説されています。
解説が分かりやすく、理論立てて書かれており、初学者にまず手に取っていただきたい一冊です。
レジデントのみならず、他科の専攻医の先生にもおすすめです!
力がついたなと思ったら、厳選100症例をまとめた「やさしイイ胸部画像教室【実践編】厳選100症例で学ぶ読影の実際」もありますので、チャレンジしてみてください!
中級編
ここからはもう少し詳しく知りたい方向けの教科書を紹介します。
画像による癌の病期診断 2022
まずは、秀潤社の「画像による癌の病期診断 2022」です。
正確な癌の病期診断に必要な情報が2022年現在の最新のUICC、癌取扱規約に基づいて執筆されています。
「咽頭・喉頭、口腔・鼻副鼻腔・大唾液腺、肺、乳腺、食道、胃、大腸、肝、胆管・胆嚢、膵、腎、腎盂・尿管・膀胱、前立腺、子宮」の14章の各論に分かれており、それぞれ各論の前にTNM分類の総論(general rule)が記されています。
研修医、画像診断医のみならず、各科の専門医の皆さんにも一読していただきたい癌画像診断の良書に仕上がっています!
すぐに役立つ救急のCT・MRI
続いて、おすすめなのが秀潤社の「すぐに役立つ救急のCT・MRI」です。
救急疾患の画像診断を全身丸ごと一冊にまとめてくれています。
付録の「救急時における造影剤の使い方」が秀逸で、腎機能低下症例に対する前処置の具体例、副作用歴がある場合の前処置の具体例が載っており、救急のみならず普段の臨床でも役立つこと間違いなしです!
困ったときの胸部画像診断
胸部からは秀潤社の「困ったときの胸部画像診断」をセレクト。
一見全て同じに見え鑑別が難しいものの、避けては通れない胸部の画像診断を各疾患別に一般知識、画像所見、鑑別診断のポイントと合わせて解説してくれています。
研修医、放射線科医の他にも呼吸器内科・外科、一般内科の先生にも読んでいただきたい一冊です。
ビギナーのための腹部画像診断 Q&Aアプローチ
腹部は秀潤社の「ビギナーのための腹部画像診断 Q&Aアプローチ」を選びました。
初学者が疑問に感じるようなものの中から、なるべく実践的で役立ちそうなものをQ&Aアプローチで解説してくれています。
「肝内に多発する低吸収域をみた時の鑑別は何ですか?」、「膵癌を疑う所見と、鑑別すべき疾患を教えてください」、「両側副腎病変の鑑別について教えてください」、「腸管気腫の意義について教えてください」、「正常卵巣の同定方法を教えてください」など全部で77個もの疑問について解説されています。
腹部は他にも良書が多く、以下の本もおすすめです。
マンモグラフィガイドライン
次は少し風変わりですが、若手放射線医や乳腺外科、外科の先生方におすすめしたいと思い、日本医学放射線学会/日本放射線技術学会の「マンモグラフィガイドライン」を選んでみました。
慣れてしまえば、MMGの読影は胸部単純X線よりも簡単だと思いますので、研修医の皆さんにもおすすめの一冊です。
背景乳腺の決め方、腫瘤の形状・辺縁、石灰化の形態・分布、FADを含むその他の所見について丁寧に解説されています。
ガイドラインとしてだけではなく、読み物としても興味深い一冊に仕上がっていると思います。
絶版になってしまいましたが、こちらもおすすめです。
まとめ
放射線科での読影、画像診断研修は放射線科を専攻しない医師にこそ重要です。
しっかりと準備して、一生ものの知識を身につけましょう!